Online Academician Forum
少し、専門的な話ですがさっき、職場の大学がOnline Academic Forum
(https://spotlights.cmu.edu.tw/academicforum.php)
でオンライン学術演説を行いました。私はA journey from tyrosine to histidine phosphorylation:Uncovering new cancer mechanism(チロシンからヒスチジンへのリン酸化の旅:新たながんの仕組みを発見)??という演説のタイトルに目を引かれてさっきオンライン演説に参加しました。
英語で行われていましたが講師はイギリス人でケンブリッジ大学出身でタンパク質のリン酸化と機能を研究しているトニー・ハンター(Tony Hunter)先生です。
私が理解している部分を噛み砕いて分かち合います。
生体内のタンパク質のリン酸化は主にセリン(Ser),トレオニン(Thr)そして、チロシン(Tyr)という3つのアミノ酸に多く見られます。(どれも、OH group 水酸基、ヒドロキシ基がついているから)タンパク質のリン酸化は遺伝子や他のタンパク質の機能を調整したり、生体内のいろいろな生化学反応に関与しています。また、セリン、トレオニン、チロシンのリン酸化も膵臓がんなど、がんの発生にも関与していることがすでにわかっています。
ハンター先生の研究によると、稀にヒスチジン(His)のリン酸化が細菌などの原核生物や哺乳類などの真核生物の生体内に存在すると言います。
ヒスチジン(His)の化学構造式:
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200907042120104149
ヒスチジンのリン酸化はヒスチジンの環状部分の2つの窒素(N)のどちらでもリン酸化が可能です。それぞれ1-リン酸化ヒスチジン、と、3-リン酸化ヒスチジン になります。(それぞれ英語で略したら、1-pHisと3-pHisになります)。リン酸化ヒスチジンはどちらも構造上不安定ですぐに他の物質と反応してしまうので、生体内に稀に見られるわけです。
ハンター先生はリン酸化ヒスチジンに対する特殊なモノクローナル抗体を使ってリン酸化ヒスチジンのタンパク質を研究したら、特定のがん細胞にリン酸化ヒスチジンのタンパク質が著しく見られることがわかりました。ハンター先生の研究で肝臓がん、乳がん、神経芽細胞腫においてリン酸化ヒスチジンのタンパク質が多く見られるそうです。
リン酸化ヒスチジンの(タンパク質の)研究はまだ多くの謎が残っています。リン酸化ヒスチジンは健康な生体内でどんな働きをしているのか、1-pHisと3-pHisの働きは何がどう違うのかがまだ明らかになっていないそうです。
また、特殊ながんについてタンパク質のヒスチジンのリン酸化を抑制することができれば新たながんの治療法の開発につながるかもしれないとハンター先生は話していました。
細菌の実験をしている私にとっても少し難しい内容ですがとても興味深いです。英語もせめて少し論文が読めるようになるくらい勉強しないと。
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投稿を表示とても面白い研究ですね。
Hisのリン酸化度合(1-pHisと3-pHis)を見ているタンパク質がいて1-pHisのときと3-pHisのときで連れてくる他のタンパク質が変わるとかありそうです。
リン酸化の前後関係(醸す人さんがおっしゃるような)がわかるとグッと核心へ迫れそうです。
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投稿を表示微生物や植物だとヒスチジンのリン酸化はシグナル伝達に利用されていますが、動物ではヒスチジンキナーゼが少ないみたいですね。
リン酸化ヒスチジンが多いから癌化するのか、癌細胞になるとキナーゼが多くなるのか、面白そう。
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