酸化ビスマスの使い道
夏コミケに出すかもしれない話を少し、ビスマス酸化膜の還元についてです。
ビスマスを融かしていると、高温のため当然表面が酸化していきます。
そのままにしておくと結晶を採り出しても酸化膜が付着してしまうので、作り手としてはこれを除去する必要があるわけです。



写真のように酸化膜を取り除き、隠れていて見えませんが後ろに置いてある容器に回収しています。
その酸化膜なんですが、作っていると結構な量溜まっていくんですね。
酸化膜自体は使い道があまりないので捨ててもいいんですが、酸化していない部分も巻き込んでいるのでちょっともったいない...
ので、最近は酸化膜を効率よく再生できないかに取り組んでいます。
調べてみると、炭素粉末を混ぜて還元している動画はいくつかあるのですが、どうやらこのやり方は少々間違っている部分があるようです。
というのも、酸化膜だけを取り出したつもりでも実際には未酸化分が残っているとのこと。
自宅でもやろうとして未酸化分を圧搾して取り出したことはありますが、得られた粉状の酸化ビスマス(?)は下のような色合いでした。
酸化ビスマスは黄~黄褐色のため、これでもまだ未酸化分は残っているようです。

試しにこのまま強熱してみます。
ちなみにですが、加熱には電子レンジとそれ用の焼結炉を使っています、ガラスのヒュージングで使われるやつですね。
で、加熱してみると以下のようになりました。

赤熱してますね。
いやぁ、なるとは思ってたけど実際見るとびっくりするものです。

冷めたものを見るとなにやらドーナツ状になっています、赤熱している写真でも同じように見えますね。
坩堝から外れなかったので割ってみると...


どうやらドーナツ状の部分は酸化ビスマス、中心部はビスマスに分離していたようです。
酸化ビスマスの方が軽いので2層になると思いましたが、表面張力なんかが絡んでいるんでしょうか?
何はともあれ強熱するだけでも結構な量のビスマスが再生できそうです。
ですが、セラミック坩堝の空孔にビスマスがみっちり浸透しているようで、これを外すにも骨が折れます。
そこで炭素坩堝に変えて同じ操作をしてみると...

沸騰しました。
坩堝内にうっすら白い煙が満ちてるんですが、これビスマスの蒸気ってことですよ、すごい。
ビスマスの沸点は1564℃、実際はお湯を沸かすときのふつふつした感じだったので1500℃くらいですかね?出るんだ、電子レンジで。
(ビスマスはわずかですが神経毒性があります。真似しないでとは言いませんが十分注意して行ってください。)
(2024/07/03追記)
沸騰ではなく還元により生じた一酸化炭素/二酸化炭素じゃないかとの意見をいただいています。
要検証ですが、炭素坩堝の色を見ると1300℃くらいが妥当かもしれません。
(2024/09/17追記)
アルミ、銅、鉄(融点はそれぞれ660℃、1085℃、1538℃)の針金を使って同条件で融けるか確認したところ、形状に変化はなくトングで押すことでアルミのみ融けることを確認しました。
銅についてはトングが触れたことで急冷し凝固した可能性が残りますが、鉄が融けるほどの温度は出ていないようです。ちょっと残念。

取り出したインゴットはこんな感じ、うっかり坩堝が割れてしまいましたがうまいことやれば割れずに取り出せそう。
表面にちらほら酸化ビスマスが見えますが、セラミック坩堝でやった時に比べてはるかに楽で高純度です。
近所迷惑になるので今日は割って断面を見ることはできませんが、きっと綺麗な劈開面が見れることでしょう。
今朝、電子レンジで爆発火災が起きたというニュースを見て明日は我が身だなと思いましたが、皆さんもどうかご安全に。
長くなってしまいましたが読んでいただきありがとうございました。
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投稿を表示家庭用の電子レンジで金属溶解できる・・・・・・のですか?
アルミニウムのインゴットも作れますか・・・・・・?
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投稿を表示これはおもしろいですね。家庭で1500℃なんて温度得られるんだ……
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